色彩理論
色を記号や数値で表し、
ことばよりも正確に表現します。
色を言葉で表すとき、人は様々な表現を用います。しかし言葉で正確な色を相手に伝えることができるのでしょうか?
日本では「虹は7色」と言われていますが、世界には5色としたり、中には20色とする国もあります。 十人十色の表色の世界。
そこに共通した表色法があれば安心して色を伝達できるのでは......。
光の波長と色相
色を表現する時、マンセル表色系が広く用いられています。
下図で示すように、縦軸に明度、外周に色相、中心より外側に放射状に彩度をとる円筒座標型の色立体がマンセル表色系です。
波 長 (nm) | 色 相 |
---|---|
380 ~ 430 | 青 紫 |
430 ~ 460 | 青 |
460 ~ 500 | 青 緑 |
500 ~ 570 | 緑 |
570 ~ 590 | 黄 |
590 ~ 610 | 橙 |
610 ~ 780 | 赤 |
マンセル色相環 色相,明度,彩度の
立体図 (JIS Z 8721 準拠 標準色票)
色相,明度,彩度の立体図
マンセル表色系「色相」「明度」「彩度」とは?
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■色相
H(Hue) 赤(R)・黄(Y)・緑(G)・青(B)・紫(P)の5つの基本色相と黄赤(YR)・黄緑(GY)・青緑 (PB)・青紫(BG)・赤紫(RP)・の5つの中間色相あがり、
各色相に0~10の目盛りが付けられています。 -
■明度
V(Value) 理想的な黒を0、理想的な白を10としたスケールで表し、明るさを色相に関係なく比較する度合いです。
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■彩度
C(Chroma) 彩度はその色の中の純色成分の含まれ具合を言います。無彩色を0とし純色と混合して純色成分の比率を上げていくと色は段々鮮やかになります。また、色相・明度によって彩度の上限は異なります。
5GYの明度と彩度(JIS Z 8721 準拠 標準色票)
感覚的な色を数式で
換算し、さらに細かく表現します。
人間が目に刺激を受けると赤・緑・青の3つの原色に分けて脳に伝達し、色を感じると言われています。
この3つの原色の刺激に沿うように、下の等色関数に示す三刺激値(X,Y,Z)というものが工業界で用いられています。
感覚量としての色を数値にするために、この刺激値が基本となってそれを数式で換算し(換算式参照)、様々な表色値を出すのです。
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XYZ表色系色度図 -CIE(国際照明委員会)
1931XYZ表色系 -
色覚と三刺激値
等色関数
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換算式
あらゆる色を数値で表示し、
自然な色の色差を表現します。
三刺激値は色刺激を表す基本的な数値ではありますが、それそのものでは実際の色の分布を把握しにくいものです。 よって三刺激値に比べて、色の知覚に対しほぼ均等な歩度をもつスケールで色を表す必要があります。そこで使用されているのが、CIE(国際照明委員会)による1976年L*a*b*色空間及び1976年L*u*v*です。
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△E*ab 9.82 △a* -0.20
△L*ab 0.77 △b* -9.79
左上のとうもろこしの2粒を見比べて、あなたはその色の違いをどう表現しますか? 色の濃い薄い、艶のあるなし、冴えているがどうかなど、様々な表現を駆使するでしょう。 しかし、このような言葉では、相手に感覚的には伝えられても、その全てを伝えきれているのか不安が残ります。そこでより具体的に色の差を表現するために、⊿E*ab等の数字を使えば、感覚的な色の差を確実に伝えることができます。
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L*a*b*表色系色度数
L*a*b*表色系立体
⊿E*abについて
L*a*b*空間における二つの知覚色を代表する2点間の直線距離、すなわち色差⊿E*abは下式で与えられます。
⊿E*ab=[(⊿L*)2+(⊿a*)2+(⊿b*)2]1/2
色差の程度の評価 | ⊿E*ab |
---|---|
きわめてわずかに異なる(trace) | 0~0.5 |
わずかに異なる(slight) | 0.5~1.5 |
感知し得るほどに異なる(noticiable) | 1.5~3.0 |
著しく異なる(appreciable) | 3.0~6.0 |
きわめて著しく異なる(much) | 6.0~12.0 |
別の色系統になる(very much) | 12.0以上 |
第一測定色をAとし第二測定色をA'とするとAからA'に色の差(色差)がでます。 この場合L*a*b*について上のように色差が出ました。
⊿E*abは点Aから点A'までの距離です。よってこの数値が大きいほど距離が離れている、つまりは色が異なるということを示しています。